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労働審判の答弁書

労働審判の答弁書は、労働審判手続申立書に対し、相手方である会社側(使用者側)の回答を明らかにする書類です。答弁書の作成は、労働審判を戦い、適切な解決を得るために極めて重要な作業となります。第1回期日に提出する労働審判の答弁書の内容は、労働審判の結果の大部分を左右すると言っても過言ではありません。そこで、以下では、労働審判の答弁書について知っておくべきポイントをまとめてみました。

労働審判の答弁書の提出

労働審の答弁書には提出期限があります

労働審判の答弁書は、実務上、第1回期日の1週間前程度を目安にして、労働審判委員会(裁判所)に証拠とともに提出することとされています。労働審判の答弁書を第1回期日の1週間以上前に提出することで、申立人である労働者側は相手方である会社側(使用者側)の主張を検討することができ、労働審判委員会(裁判所)も、当事者双方の主張及び証拠を整理することができます。具体的な提出期限は、申立書と一緒に送られてきた「労働審判手続期日呼出状及び答弁書催告状」という書類に記載されているはずですのでよく確認してください。

提出期限の遵守

労働審判の答弁書が相手方より裁判所に提出されると、労働審判委員会を構成する裁判官と労働審判員は、答弁書の内容を読んで審理当日に臨みます。労働審判の答弁書の提出が遅れると、申立人側はもちろん、労働審判委員会(裁判所)も、相手方である会社側(使用者側)の主張の理解が不十分なまま第1回期日の審理を迎える危険があります。この場合、会社側(使用者側)にとって、不利な調停案や審判が出される可能性も否定できません。事前に裁判所より通知された提出期限は、裁判官や審判員に使用者側の主張をしっかりと吟味してもらうためにも、できる限り遵守すべきです。

労働審判の答弁書の書き方

労働審判の答弁書には、何をどの程度書けばよいでしょうか?迅速な紛争解決を目的とする労働審判手続では、原則、第1回期日までに事実関係の主張・立証を尽くすことが予定されています。このため、労働審判の答弁書には、申立人の主張に対する認否だけではなく、相手方である会社側(使用者側)として考えられる有効な反論を過不足なく記載しなければなりません。また、労働審判委員会が調停を試みる際には、事案解決に関する会社側(使用者側)の意向や背景事情等が重要となりますので、これらの点も答弁書には記載しておくべきです。この点、労働審判規則は、労働審判の答弁書には次の事項を記載しなければならないとしています。

  1. 申立ての趣旨に対する答弁

    申立書に記載された申立の趣旨について、相手方である会社の答弁の内容を記載します。通常であれば、「本件申立てにかかる請求をいずれも棄却する。」などと、請求の棄却を求める内容を記載します。

  2. 申立書に記載された事実に対する認否

    申立書に記載された申立人主張の事実関係についての認否を記載します。事実として争わない場合は認める、間違っている場合は否認、知らない場合は不知などと記載していきます。

  3. 答弁を理由づける具体的な事実

    例えば、未払い賃金を請求されている事案で、既に主張されている賃金を支払い済みであるなどという反論をするときなどは、その賃金をいつどのような方法で支払ったのかなどを具体的に記載します。

  4. 予想される争点及び当該争点に関連する重要な事実

    従前の交渉経過や申立書の内容などに照らし、労働審判の審理において何か争点となりそうか、またその争点に関し会社側の主張を認めてもらう上で重要と思われる事実を記載します。

  5. 予想される争点ごとの証拠

    争点に関し証拠がある場合には、これを具体的に記載します。

  6. 当事者間においてされた交渉(あっせんその他の手続においてされたものを含む。)その他申立てに至る経緯の概要

    従前に交渉が行われていた場合には、その内容を記載します。

労働審判の答弁書作成は弁護士にご依頼ください

以上にみたとおり、労働審判の答弁書については、書き方のポイントというものがあります。つまり、労働審判の答弁書を書くにあたっては、何を書くことを求められているかを十分に理解し、また、具体的な事案において、当事者の言い分が対立している点(争点)がどこにあるのかを的確に把握した上で、労働審判員や裁判官にわかりやすいよう、必要な事項を適切な表現で過不足なく記載していく必要があります。

そのような作業を経営者様が行うことは、あるいは可能かもしれませんが、効率的ではありませんし、重大なミスが起こってしまう可能性も否定できません。この意味で、会社側(使用者側)の皆様には、労働審判の経験のある弁護士に相談し、代理人としての答弁書作成を依頼することをお勧めします。当事務所は、労働者側・会社側において、豊富な労働審判の代理人経験があります。労働審判の答弁書の作成にお困りの方は、ぜひお気軽にお問合せください。

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