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養育費の変更

婚姻費用請求
小林祐太郎

熊谷オフィス所長弁護士

弁護士の小林です。以前に離婚と養育費の関係についての一般的な解説をしました。今回は、2つの想定事例をもとに、一度取り決めた養育費に対する変更(増額・減額)について解説をしたいと思います。

想定事例

ケース1- 再婚相手と間に子が生まれた事例

私は、前妻との間に子どもを1人もうけましたが、3年前に離婚しました。その際、親権者は前妻となり、私が支払う養育費についても取決めを行いました。
他方、私は1年前に再婚をしたものの、今日まで取り決めた養育費の支払を続けてきました。しかし、この度、現妻との間に子どもが生まれ、日々の生活費の負担も増えており、これまでとおりの養育費を支払うことが厳しくなってきました。養育費の減額を求めることはできないのでしょうか。

ケース2- 私立大学への進学

私は親権者となり、元夫と離婚をしました。その際、養育費の取決めをして、元夫からは今日まで支払をしてもらっていますが、この度、子が私立大学に進学することを希望しており、もし私立大学へ進学することとなった場合、今支払ってもらっている養育費だけでは、今の私の収入を考えても卒業までの学費を賄うことができません。
元夫に養育費の増額を求めることはできないのでしょうか

解説

いったん取り決めた養育費については、「事情に変更」が認められれば、これを変更することができます(民法880条)。ここに「事情に変更」とは、一般的に、合意等をした当時に当然に予見できなかったような事情が発生したようなケースをいいます。そのため、合意当時に予見していたような事情が発生したにすぎないような場合に養育費の増減額を求めても、既にその事情は考慮されて当該金額が決定されているとして、養育費の増減額を認める「事情に変更」があるとはいえずに増減額が否定されることもあります。
もっとも、養育費の増減額を肯定できるだけの「事情に変更」が認められるかはケースバイケースであり、様々な事情を考慮して増減額を認めるべきか判断されることになります。

ケース1の場合

ケース1の場合、義務者が再婚し子どもができて扶養すべき家族が増えています。このような事情は、通常、養育費の取決めを行った当時に予見できる事情ではありませんので、「事情に変更」があるとして養育費の減額が認められる余地があるでしょう(実際に、義務者である父が再婚して再婚家庭の生計維持の必要性が生じていることなどを考慮して、養育費の減額を認めた審判例もあります。)。
もっとも、再婚して扶養家族が増えたという一事情だけで、常に養育費の減額が認められるわけではありませんので注意が必要です。例えば、義務者の収入が取決め当時に比べて大幅に増収していたような事情があれば、再婚して扶養家族が増えたという事情があったとしても、なお取り決めた養育費の金額が相当であるとして減額が認められない場合もあるでしょう。

ケース2の場合

一般に、養育費の算定においては、いわゆる「算定表」が用いられることが多いところ、この「算定表」は公立学校の学校教育費については考慮されていますが、私立学校の費用については特段の考慮がなされていません。そのため、養育費の算定にあたって、子どもが私立学校に進学している場合や進学が予定されている場合の費用負担をどのように考慮すべきかは問題となるケースも多いです。
ケース2の場合では、養育費の取決め当時、子どもが私立大学へ進学をすることについて特に問題とされていなかったのであれば、このような場合の費用負担については、「事情に変更」があるとして、別途費用負担として養育費の増額が認められる余地はあるでしょう。この際、現在の実務では、親の社会的地位や学歴、子どもの学習意欲やきょうだいの大学進学の有無等の家庭環境等を考慮して判断される傾向があります。
また、子どもが4年制大学に進学する場合においては、養育費の終期についても問題となるでしょう。養育費の支払が必要となるのは「未成熟子」に対してであり、一般に、「未成熟子」か否かは20歳(成人)が基準とされることが多いのですが、他方、4年制大学に進学をした場合には、未だ子どもが扶養が必要な状態にあるとして、大学卒業時まで(または満22歳に達する日の属する月まで)の養育費の支払義務を認めた裁判例もあります。
そのため、まずは、子どもが大学進学を希望している旨を元夫に伝えて、その費用負担について協議を行うことがよいでしょう。

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