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離婚成立後の手続き(その2) | 健康保険・年金・児童手当など

小林祐太郎

熊谷オフィス所長弁護士

熊谷オフィスの小林です。今回は、前回に引き続き、離婚成立後にやらなければならない手続等についてご説明します。離婚後の新しい生活をスムーズにスタートさせるためにも、必要な手続は忘れずに行うようにしましょう。今回は、健康保険や年金、各種手当などについて解説します。

1 医療保険(健康保険)について

日本では、国民の全てが医療保険に加入することになっており(国民皆保険制度)、加入者によって異なりますが、大別しますと、いわゆるサラリーマンの場合には「健康保険」、サラリーマン以外の自営業者などは「国民健康保険」のいずれにか加入することになります。

離婚後、医療保険について取るべき手続は、婚姻中にいかなる医療保険に加入していたか、離婚後にどの医療保険に加入するかにより異なります。そこで、以下では、一般的に多い例である夫がサラリーマンであり、妻が夫の被扶養家族として健康保険に加入していた場合について見ていきたいと思います。

例① 健康保険から健康保険に加入する場合

離婚後、元妻がすぐに就職する等して自身の勤務先の健康保険に加入する場合です。この場合には、まず、元夫の勤務先を通じて元妻を被扶養者から外す手続を取り、その後、ご自身(元妻)の勤務先を通じて健康保険加入の手続を取る流れとなります。

例② 健康保険から国民健康保険に加入する場合

離婚後に、元妻がすぐに就職をしない場合には、新たに自分を世帯主にした国民健康保険に加入する必要があります。国民健康保険の加入手続は、ご自身がお住まいの役所(熊谷市にお住まいであれば熊谷市役所です。)で行うことになります。具体的な手続の流れとしては、まず、元夫の勤務先を通じて、元妻を被扶養者から外す手続を行って被扶養者でなくなったことを証する「資格喪失証明書」という書類を発行してもらう必要があります。役所で国民健康保険の加入手続を取る際には、この「資格喪失証明書」が必要となりますので、しっかりと取得し紛失することのないように気を付けてください。

※ なお、離婚の場合、夫婦関係が良好でない場合も多く、夫がなかなか被扶養者の変更手続をとらずに「資格喪失証明書」が取得できない場合もあります。この場合には、役所等の窓口に行って相談することで夫の勤務先に問合せをしてもらって手続が進められるケースもありますので、一度相談をしてみることが大切です。

2 年金について

年金についても、上記医療保険と同様、離婚によって手続が必要となります。上記医療保険の例にしたがって見ていきましょう。この場合、元妻は国民年金における第3号被保険者になります。

上記医療保険の例①の場合、元妻は第3号被保険者から、ご自身の勤務先の厚生年金に加入する第2号被保険者となりますので、ご自身の勤務先を通じて手続を取りましょう。

他方、例②の場合には、元妻は第1号被保険者となり、役所において「種別変更手続」をする必要があります(国民健康保険の手続と同様、熊谷市にお住まいであれば熊谷市役所で手続を取ります)。

年金分割制度については以下の記事も参考にしてください。

離婚と年金分割

収入が少なく健康保険料や年金保険料が支払えないとき

離婚によりすぐに就職をしない場合、元妻は国民健康保険に加入し、国民年金第1号被保険者となります。その場合、毎月、国民健康保険料と国民年金保険料の支払をしなければなりませんが、収入が十分にない場合にはその支払が困難なケースもあるかと思います。そのような場合には、免除・軽減の制度もありますので、支払をせずに放置することはせず、一度役所の窓口に相談に行かれることをおすすめします。

3 児童手当・児童扶養手当について

離婚により、未成年の子を引き取った場合、役所から各種手当や援助を受けることができます。その代表的な例が、児童手当や児童扶養手当です。両手当が同じものであると勘違いしている人もいらっしゃいますが、これは全く別の手当です。児童手当は、かつて子ども手当と呼ばれていたものであり、中学生までの子どもを持つ家庭に支給される手当であり、一人親か否かは関係がありません。他方、児童扶養手当は、かつての母子手当であり、離婚等を理由として、18歳までの子どもを持つ一人親(母子家庭、父子家庭を問いません。)に支給される手当です。この両手当は、併せて支給を受けることができます。

児童手当については、離婚前は元夫が受給者となっていることも多いかと思いますので、速やかに役所に受給者変更のための手続を取る必要があります。また、児童扶養手当は、自ら申請をしなければ受給はされませんし、遡っての支給はありませんので、離婚後速やかに申請をすることが大切です。これらの手続については、支給要件(所得制限など)も含めて、役所の窓口に相談をされることが確実です。

なお、自治体によっては、一人親に対して、様々な各種手当や援助制度を行っていることがあります。例えば、熊谷市ですと、自立支援のための教育講座の受講料一部援助、医療費の助成、子どもの就学支援金の支給などがあります。これらの制度等については、通常支給されるための条件などが定められていますので、それぞれお住まいの自治体(役所)にお問合せされてみるとよいでしょう。

4 その他の手続・届出

運転免許証の記載事項変更

離婚により本籍、住所及び氏名等に変更が生じた場合、速やかに届出をしなければならないと道路交通法で定められています。また、これを怠ると運転免許証更新のための案内(はがき)が届かずに、気付かないまま期限切れ(無免許)で運転をしてしまっていたというケースも起きかねません。そのため、離婚により上記各事項に変更が生じた場合には、速やかに変更手続を取りましょう。

具体的な手続ですが、運転免許センター(埼玉県の場合は鴻巣ですね。)または各警察署の運転免許窓口で変更手続が可能です。その際に必要となる書類は、変更事項によっても異なりますので、事前に警察署のホームページ等で確認の上、手続に行きましょう。

パスポート・銀行口座等の名義変更

運転免許証の他にも、離婚により氏名等が変わった場合には、手続等が必要なことはあります。例えば、パスポートであれば、訂正手続や新規作成の必要がありますし、銀行口座や携帯電話などの名義変更が必要な場合もあるでしょう。
また、自分名義の自動車や不動産などがある場合も、氏名や住所が変われば変更の手続を取る必要があります。

郵便物の転居・転送届

忘れがちなのがこちらです。離婚後に転居・転送届をしておかないと、重要な書類が、元夫の住んでいる住所に届いてしまうこともあります。そのため、速やかに郵便物の転居・転送届をしておきましょう。
手続は郵便局でできますので、詳細は郵便局の窓口かホームページにてご確認ください。

最後に

離婚は身体的にも精神的にも大変な出来事ですので、離婚をする際に離婚後のことにまでなかなか頭が回らないことも多いかと思います。その際に、今回のお話が皆様の助けとなりますと幸いです。今回の解説ではどうしても一般的な開設にならざるを得ない点もありましたが、実際にご相談いただく場合には、ご相談者様のご事情を踏まえて、より具体的なアドバイス・ご説明をさせていただくことが可能なことも多いです。そのため、離婚の際しての手続等についてお悩みの方がいらっしゃいましたら、一度お気軽にご相談をいただければと思います。

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