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会社側からみた労働審判の弁護士費用

横山聡

川越オフィス所長弁護士

経営者様が労働審判の対応をする際には、会社側(使用者側)にかかる金銭的負担について、ある程度の見通しをたてておくことが不可欠です。その中でも、特に経営者様からのご質問が多いのは、労働審判の解決を弁護士に依頼した場合にかかる弁護士費用です。そこで、以下では、会社側の労働審判手続の弁護士費用について説明をした上で、労働審判にかかるその他の費用についても解説します。

労働審判の弁護士費用の決定方式

労働審判の弁護士費用はどのような方式で決まるのでしょうか。弁護士の報酬については、かつて日本弁護士連合会が報酬基準を作成していましたが、現在では、これが廃止されているため、各法律事務所が自由に報酬基準を設定しています。したがって、労働審判の弁護士費用についても様々な決定方式が採用されていますが、一般的には次のような方式のいずれかが多いと思われます。

着手金・報酬金方式

労働審判の弁護士費用の決定方法で最も多いのは、着手金・報酬金方式と思われます。着手金とは、弁護士への依頼時(委任契約締結時)にお支払いいただく費用をいいます。これに対して、報酬金とは、弁護士による事件処理の結果、一定の結果が生じた段階でお支払いただく費用となります。着手金・報酬金の算定方法については、例えば、次のような方法があります。

  • あらかじめ定額となっているケース
  • 事件の経済的利益の一定割合とするケース(経済的利益は、着手金であれば申立人の請求金額を基準とし、報酬金であれば請求を受けた金額からの減額幅とされることが一般的です。)

タイムチャージ方式

労働審判の弁護士費用として、タイムチャージ方式を採用している法律事務所もあるようです。タイムチャージ方式とは、弁護士の稼働時間単価をあらかじめ委任契約で設定しておき、実際の事件処理時間(事実関係の聴取・文献や判例調査・労働審判の出廷時間など。移動時間を含めるケースもあります。)に時間単価を乗じて弁護士費用を算定する方式です。弁護士の稼働時間に応じた費用が発生するという意味では合理的な側面はありますが、事案によっては予想外に弁護士費用が高額となる場合もあります。

手数料方式

労働審判の弁護士費用について、手数料方式を採用している法律事務所もあります。ここでいう手数料方式とは、事件処理の結果に応じて報酬が増減することはなく、予め委任契約で定めた一定額のみをもって弁護士費用とする方式のことをいいます。手数料方式では、タイムチャージ方式の場合のように弁護士費用が予想外の金額になるというリスクはありませんが、弁護士費用の額が事件処理の結果に左右されないという意味では、弁護士のインセンティブに欠けるという構造的問題があります(もちろん、これは一般論であり、手数料方式を採用している法律事務所が手を抜いているという意味では全くありません。)

労働審判の弁護士費用の相場?

使用者側で労働審判の対応を弁護士に依頼する場合、その弁護士費用の相場はどの程度でしょうか。先ほども述べたとおり、現在、弁護士費用は各法律事務所で自由化されていることから、相場と呼べるほどのものが存在するかはわかりません。もっとも、労働審判における弁護士の報酬については、日本弁護士連合会が2009年度にアンケート調査を行った結果が参考になるとおもわれます。これによると、

10年間勤務し、30万円の月給を支払っていた労働者を懲戒解雇したところ、労働者が会社(中小企業)を相手方として、懲戒解雇無効を理由に労働仮処分の手続きの申立をした。その結果、会社は懲戒解雇を撤回したうえで、労働者は任意退職し、会社都合を理由とする退職金200万円と解決金200万円を支払った。会社の代理人であった場合の着手金および報酬金はいくらか。

というアンケート質問に対して、弁護士304人が回答しています。このうち、着手金については30万円前後と回答した弁護士が46.1%、50万円前後と回答した弁護士が18.8%でした。また、報酬金については、30万円前後と回答した弁護士が25.0%、50万円前後と回答した弁護士が33.2%だったようです。但し、上記の回答は、顧問契約がない企業からの受任を想定したものです。

当事務所における労働審判の弁護士費用(会社側・使用者側)

着手金・報酬金方式を採用しています

当事務所では、会社側・使用者側からのご依頼による労働審判の弁護士費用につきましては、特別に複雑な案件を除き、以下のような着手金・報酬金方式を採用しております(税別)。

  • 着手金:30万円~
  • 報酬金:30万円~

労働審判から通常訴訟に移行した場合

労働審判が出された後、申立人もしくは相手方より異議の申立がなされると、通常訴訟に移行することになります。この場合、労働審判手続段階での報酬金は発生しませんが、通常訴訟の弁護士費用として、追加着手金を申し受けます。

弁護士費用以外にかかる金銭的負担

労働審判を解決する上で会社側・使用者側にかかる金銭的なご負担は、弁護士費用にとどまるものではありません。一般的には次のようなご負担が発生すると考えられます。

事件実費

労働審判事件を担当する弁護士が事件処理を行うに際し、様々な実費が発生します。資料のコピー代、郵送費、交通費などが典型的です。もっとも、労働審判の場合、多額の実費が発生することはそれほど多くはありません。当事務所でも、これらの実費は依頼会社様にご負担いただいておりますが、高額の実費が発生する可能性がある場合には、事前にその点につき依頼会社様のご了解をいただくことにしております。

解決金・和解金

労働審判手続で調停を成立させて事件を解決する場合には、使用者側から労働者に対して、和解金や解決金といった名目で一定の金銭が支払われることが多くあります。このような場合には、当然、使用者側に当該金銭のご負担をいただかなくてはなりません。

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